第1章転職を考え始めたら|現状の数字と最初の一歩
この章の要点
- 転職者は年間およそ330万人(2025年)で、転職を希望する人はその3倍ほどいます。転職は珍しいことではありません。
- 転職した人の賃金は、前の職場より増えた人が約4割、減った人が約3割です(令和6年)。上がる人ばかりではありません。
- 最初の一週間は、応募や登録より先に、理由・条件・記録の場所を決めます。活動は基本的に在職中に行います。
転職の現状:公的統計から
総務省統計局の労働力調査(詳細集計)によると、2025年の転職者数は約330万人で、2023年以降は330万人前後で推移しています。転職を希望する人(転職等希望者)は約1,023万人で、比較できる2013年以降で最も多くなりました。実際に転職する人より、考えている人のほうがずっと多いということです。
転職すると賃金はどう変わるでしょうか。厚生労働省の令和6年雇用動向調査では、転職した人のうち、前の職場より賃金が「増加」した人が40.5%、「減少」した人が29.4%でした。増加の割合は前年より3.3ポイント高く、減少の割合は3.0ポイント低くなっています。残りは「変わらない」などです。
この数字から言えるのは二つです。
- 賃金が上がった人は多いが、約3割は下がっている。「転職すれば上がる」とは言えません。
- 全体の平均であり、年齢・職種・地域で変わります。自分の場合は第3〜8章で見ます。
最初の一週間にやること
応募や登録を急ぐ必要はありません。先に次の三つを決めると、その後の判断がぶれにくくなります。
基本は、在職中に転職活動をする
このサイトでは、転職活動は基本的に在職中に行うことを勧めます。退職してから「ゆっくり探す」ことは、避けたほうがよい理由が多いためです。
- 収入が途切れない:応募や選考が長引いても、生活が崩れません。
- 条件を選べる:収入の心配が小さいと、年収の下限や譲れない線(第2章)を守って選べます。退職後は「早く決めたい」が先に立ち、条件を譲って決めてしまうことがあります。
- 空白期間ができない:空白が長くなると、面接で理由を聞かれる例があります。
- 失業給付には頼りにくい:自己都合で辞めた場合、給付には原則1か月の給付制限があります(離職日が令和7年4月1日以降。過去5年に2回以上の自己都合離職なら3か月)。給付は日数に上限があり、生活費のすべてを満たすとは限りません。その間は貯蓄を取り崩すことになります。
- 「ゆっくり」は長引きやすい:期限がないと動きが鈍り、貯蓄と気持ちが先に減る、と言われます。市場の状況も、時間がたつと変わります(第4章の在宅勤務の例)。
在職中は、面接の日程を合わせにくい、というのが最大の難点です。有給休暇、夕方・オンラインの面接、エージェントへの時間帯の希望の伝え方で補います(第12章、第17章)。
例外として、退職を先に考える場合:心身の不調があるとき(受診と休養が先です)、ハラスメントなどで在職を続けるのが難しいとき、会社の退職勧奨が進んでいるとき(別サイト「リストラされそうになったら読むサイト」で扱っています)。こうした場合は、労働局の総合労働相談コーナーやハローワークに早めに相談します。
転職しない選択も、選択肢に入れておく
転職は目的ではなく手段です。今の職場での異動・配置転換、社内の別の仕事、副業で足りる場合もあります。この点はどちらにも誘導しません。「転職しないことも含めて選ぶ」ために、次のページで理由と条件を整理します。
相談先
この章で記録しておくこと
- 転職を考え始めた日と、きっかけ
- 現在の年収・勤続年数・毎月の支出・貯蓄(日付つき)
- 誰にも言っていないこと/誰に話したか(社内に漏れないよう、話す相手も記録)
この章のチェックリスト
- 転職したい理由を3行で書いた
- 現在の年収・支出・貯蓄を1枚に書き出した
- 年収が下がったときに耐えられる下限を仮に決めた
- 記録をつける場所を決めた
- 基本は在職中に動く理由(収入・条件・空白期間・給付制限)を理解した
- 社内の誰にも、まだ話していない(または話す相手を決めた)
事実の確認表
| 主張 | 出典 | 確認日 |
|---|---|---|
| 2025年の転職者数は約330万人、転職等希望者は約1,023万人(比較可能な2013年以降で最多) | 総務省統計局「労働力調査(詳細集計)」https://www.stat.go.jp/data/roudou/2.html(検索結果の要約で確認。原表は未開封) | 2026-09-30 |
| 令和6年 転職入職者の賃金は前職より増加40.5%・減少29.4% | 厚生労働省「令和6年雇用動向調査結果の概況」報道発表資料 https://www.mhlw.go.jp/toukei/itiran/roudou/koyou/doukou/25-2/dl/siryo.pdf(原本を読んで確認) | 2026-09-30 |
| 自己都合離職の給付制限は、離職日が令和7年4月1日以降で原則1か月、過去5年に2回以上の自己都合離職で3か月 | ハローワークインターネットサービス「よくある質問」https://www.hellowork.mhlw.go.jp/help/question08.html(原本を読んで確認) | 2026-09-30 |
参考にした記事
- 労働調査会「令和6年 雇用動向調査(厚労省)」https://www.rodo.co.jp/series/205462/(転職入職者の賃金変動の解説)