8-1転職の市場価値の測り方|複数の物差しで見立てを比べる
章を通して読む 第8章の節(全3節):8-1 要点・5つの物差し / 8-2 見立てを表で比べる / 8-3 相談先・記録・チェックリスト
この章の要点
- 市場価値を測る物差しは1つではありません。スカウト、求人票、エージェント面談、公的統計、診断サービスの5つを組み合わせます。
- 診断サービスの年収の数字は、登録データにもとづく推計で、実際に採用される額を保証しません。
- 見立てが物差しごとに違うのは普通です。違いの理由を見て、応募先を決めます。
5つの物差し
| 物差し | 分かること | 限界 |
|---|---|---|
| ① スカウト | どんな企業・職種から声がかかるか。届く頻度 | 一斉送信も多い。声がかかることと、採用されることは別 |
| ② 求人票の年収 | 応募したい求人の年収レンジ | 上限は高めに書かれがち。自分の位置は書かれていない |
| ③ エージェント面談 | 経験に合う求人と、想定年収 | 担当者と会社で言うことが違う。成功報酬で見立てが寄ることがある(第10章) |
| ④ 公的統計 | 職種・年齢・地域の賃金の平均 | 平均で、個人の位置は分からない。会社規模で大きく変わる |
| ⑤ 診断サービス | 年収の目安、強み | 推計モデルで、実際の提示額とは異なる |
① スカウトで見る
職務経歴を登録すると、企業やエージェントから連絡が来る仕組みがあります(第13章)。次を記録します。
- 1か月に何件届くか。どの業界・職種・規模か。
- 個別の文面(あなたの経歴に触れている)か、一斉送信の定型文か。
個別のスカウトが多い職種は、需要があると読めます。ただし、経歴を登録しただけで届く定型文もあるため、件数だけで判断しません。
スカウトが届いても、採用が決まったわけではありません。 スカウトは面談や応募への入口で、選考は別にあります。スキルのすり合わせ(求められる技術・経験と、自分が実際にできること)をしてみないと、合うかどうかは分かりません。また、エージェントが機械的に、条件に当てはまる大勢へ一斉に送っている場合もあります。個別の文面か定型文かを見分けます(第13章)。
② 求人票の年収を並べる
自分が応募したい求人を5〜10件集め、年収の下限・上限、必須条件、勤務地を表にします。今の年収が、レンジのどの位置にあるかを見ます。
- 下限に近いなら、条件を満たしても、提示は下限になりやすい。
- 「経験・能力に応じて」とだけあるなら、面談で聞く。
- 固定残業代が含まれている場合、基本給がいくらかを確かめる(第14章)。
③ エージェント面談で聞く
複数のエージェントで、次を聞き比べます(第12章)。
- 自分の経歴で、紹介できる求人の年収の幅とその根拠
- 似た経歴の人が、決まるまでの期間と、決まった年収
- 弱みと見られる点と、その補い方
1社だけの見立てを信じません。複数社で似ていれば信頼でき、違えば、理由を聞きます。
④ 公的統計で相場を見る
賃金構造基本統計調査には、職種・年齢・企業規模・地域別の賃金の表があります。職業情報提供サイト(job tag)でも、職業ごとの賃金の統計を見られます。これは平均値です。自分がその上か下かは、経験と成果で変わります。
⑤ 診断サービスの読み方
転職サイトなどには、経歴を入力すると年収の目安を出す診断があります。使うときは次に注意します。
- 出た数字は、その会社が持つデータからの推計です。実際の提示額を約束するものではありません。
- 診断の結果には、サービスへの登録・会員化が伴うことが多く、その後の連絡が増える場合があります。
- 診断の数字は、他の物差しと合わせて読みます。