第4章転職と場所|地域の求人倍率・賃金・在宅の考え方
この章の要点
- 求人の量と賃金は地域で違います。都道府県別の有効求人倍率は、2026年7月の就業地別で最も高い県と最も低い府県の間に大きな差があります。
- ただし求人倍率は全職種の平均です。自分の職種で、通える範囲に何件あるかを見ないと、実感とずれます。
- 在宅可の求人、転居、通勤時間の伸ばし方で「場所」の軸は動かせますが、家計と家族の事情が先に決まります。
地域による違い
厚生労働省の一般職業紹介状況では、都道府県ごとの有効求人倍率(求職者1人に対する求人の数)が毎月公表されています。2026年7月は、全国が1.18倍、就業地別で最も高いのが福井県の1.72倍、最も低いのが大阪府の0.96倍でした。
ここで注意が要ります。
- 職種で違う:全職種を合わせた数字です。事務職は低く、介護・建設・運輸などは高い、というように、職種別の倍率は大きくばらつきます。自分の職種の倍率は、同じ統計の職業別の表で確かめます。
- 求人の質は測れない:求人が多くても、賃金や働き方が合うとは限りません。
- 正社員に絞ると変わる:正社員の有効求人倍率は別に公表されます。
賃金も地域で違います。厚生労働省の賃金構造基本統計調査には、都道府県別の賃金の表があります。自分の職種と年齢に近い区分の数字を、住んでいる県と、転居を考える県の両方で見比べます。
場所の軸を動かす4つの方法
| 方法 | 利点 | 注意点 |
|---|---|---|
| 通勤時間を伸ばす | 応募できる求人が増える | 毎日の負担。時間あたりの賃金は下がる |
| 在宅・ハイブリッドの求人 | 地域の制約が弱まる | 出社頻度が入社後に変わることがある。求人票の条件を書面で確かめる |
| 転居する | 求人の多い地域へ移れる | 引っ越し費用、住居費、家族の学校・仕事の問題 |
| 単身赴任・週末帰宅 | 家族は今の場所のまま | 二重の住居費。家族の負担 |
在宅勤務の求人は、条件の書き方が会社によって違います。「在宅可」でも、週に何日か、入社直後から可能か、出社を求められる場面があるかは別の話です。応募前に求人票の記載を確かめ、面接で聞きます(第14章)。
在宅勤務は、時期で大きく変わった
在宅勤務の条件は、この数年で大きく動きました。コロナ禍で広がり、コロナ後もしばらく在宅可の求人が目立ちましたが、現在は出社を基本にする会社が増えています。パーソル総合研究所の調査(2026年7月実施)では、テレワーク実施率は21.4%で前年同期より1.1ポイント低く、「原則出社」の割合は24.6%で2年連続で増えました。一方で、テレワークをしている人の81.6%は継続を希望していて、働く人の希望と会社の方針にずれがあります。
- 「在宅可」の求人でも、入社後に出社の頻度が変わる例があります。
- 過去の口コミや体験談の「在宅OK」は、今は違うことがあります。
- 応募時に、週の出社日数と、方針が変わる可能性を面接で確かめ、労働条件通知書に書いてもらいます(第18章)。
このように、市場の条件は時間で変わります。数年前の常識で、今の求人を判断しません。
転居を伴う転職の費用
転居をするなら、転職先の年収の上下だけでなく、次を足し引きして比べます。
- 引っ越し費用と、会社からの補助(転居費用の支給が入社条件にあるか)
- 住居費の差(家賃、ローンが残る場合は二重に払う期間)
- 通勤費と、通勤時間の差
- 家族の教育・仕事への影響
会社都合の転勤と違い、自己都合の転職では引っ越し費用が出ないこともあります。内定の前後に、支給の有無を条件として書面で確かめます(第18章)。
自分の「場所」を調べる手順
- 通勤できる範囲(片道の上限時間)を決める。
- その範囲で、自分の職種の求人を、求人サイトとハローワークの求人検索で件数だけ数える(第13章)。
- 年収の分布(下限〜上限)をメモする。件数が少なければ、範囲を広げるか在宅可を入れて再度数える。
- 都道府県別の賃金と比べ、自分の範囲が相場より高いか低いかを見る。
相談先
- ハローワーク(地域の求人事情を職員に聞ける)
- 転職エージェント(地域ごとの求人の量と条件の見立て。複数社で比べる)
- 自治体の移住・就業の相談窓口(転居を考える場合)
この章で記録しておくこと
- 通勤範囲(片道の上限時間)と、その範囲で数えた求人件数・年収の幅(日付つき)
- 在宅の条件(週の日数・出社の頻度)を求人ごとに
- 転居した場合の費用の見積もり
この章のチェックリスト
- 通勤できる範囲(片道の上限時間)を決めた
- その範囲で、自分の職種の求人件数を数えた
- 求人倍率は全職種の平均だと理解した
- 在宅可の求人は、週の日数と出社の頻度を確かめる
- 転居を考える場合、費用の見積もりを出した
- 数えた件数と日付を記録した
事実の確認表
| 主張 | 出典 | 確認日 |
|---|---|---|
| 2026年7月のテレワーク実施率は21.4%(前年同期比1.1ポイント低下)、「原則出社」は24.6%(2年連続増)、実施者の81.6%が継続希望 | パーソル総合研究所「テレワーク調査2026」(2026年7月実施)。ビジネス+IT の報道記事 https://www.sbbit.jp/article/cont1/186716 で数字を確認。原本の報告書は未開封 | 2026-09-30 |
| 2026年7月の有効求人倍率は全国1.18倍、就業地別の最高は福井県1.72倍、最低は大阪府0.96倍 | 厚生労働省「一般職業紹介状況」(労働政策研究・研修機構の統計ページ経由で確認)https://www.jil.go.jp/kokunai/statistics/shuyo/0210.html(検索結果の要約で確認。厚労省の原表は未開封。最新は原表で確かめてください) | 2026-09-30 |
| 賃金構造基本統計調査に都道府県別の賃金表がある | 厚生労働省「賃金構造基本統計調査」https://www.mhlw.go.jp/toukei/list/chinginkouzou.html(原表の数字は掲載していません。各自で確かめてください) | 2026-09-30 |
参考にした記事
- 労働政策研究・研修機構「主要労働統計指標」https://www.jil.go.jp/kokunai/statistics/shuyo/0210.html(有効求人倍率)